分譲マンションの床暖房有フローリングのフローリングを貼りかえる話

床暖房設備ごとフローリングをめくる風景

 

こんにちは、リフォームリノベーションの人、株式会社カラフルライフの清水 透です。

本稿は、純粋なリフォームのお話。表題の通り、

 

分譲マンションの床暖房『有り』のケースで

フローリングを貼りかえる

 

お話です。地味やなー(笑)何の派手さも無い、完全な実務のお話。ですが、よくある話でありながら、これから増えるであろう話でありながら、説明が非常に難しい話。という訳でまとめておきます。

分譲マンションに床暖房が入るようになってからどのくらいで経つのでしょうか??完全な感覚値ですが、平成に入ったくらいかと。となると、30年前後以上が経過し、故障した、漏水したなどの話がこれから頻発するように思えます。

 

床暖房パネルが入っているフローリングを貼りかえる場合、原則としてフローリングだけではなく、床暖房パネルそのものを交換する必要があります。床暖房の保証が効かなくなります。

中古マンションを購入するにあたり、フローリングを貼り替えたい。でも床暖房が入っている。というケースはよくあります。床暖房は基本的にガス温水式と電気式の2種類。本稿においてはどちらでも同じとします。

 

①床暖房が本当に必要か考える
②上記条件でフローリングを貼りかえると、床暖房の保証が効かなくなる
③フローリングの下地の状態によってやり方が変わる

 

70㎡のマンションを想定します。思い切りざっと言うと、床暖房パネルの交換で70万円くらい、LDK+廊下のフローリング交換で50万円くらいかかります。フローリング貼り替えだけなら50万円で済むところが、120万円かかることになります。床暖房を残したいけどフローリングも貼り換えたい、ということであれば、原則としてこの選択肢しかありません。

ただ、何とかフローリングを綺麗にめくり、床暖房パネルだけを残し、断熱アルミシートを貼りかえて、遮音フリーリングだけを貼りかえる、という工事をすることも絶対にできないことではありませんし、やっている会社もありますし、私もやった記憶があります。その場合に床暖房設備に何か支障が出ても、大阪ガスとして保証・修理ができない、ということです。逆を言えばそれでもいいのであればその選択肢もあるとは思います。おススメはしませんが、何でも正規の方法でできる訳ではありませんので、それはそれかと。

また、床暖房有りの既存フローリングの上から貼れる薄々のフローリング:パナソニック/ウスイータなどの商品もありますので、違う選択肢もあります。が、床暖房パネルも当然劣化します。築20年のマンションを買い、内装設備に手を入れようということであれば、「どうせフローリングを貼りかえるなら床暖房パネルも…」と考えるのも当然だと思います。分かりにくい話ではありますが、書いてみます。

 

①床暖房が本当に必要か考える

まずはこれ。とあるお客様にも言われましたが「温暖化が進む中、年間にせいぜい3ヵ月しか使わない設備に何十万円もかけて、何年で元とれんねん」。“元”が何を指すかはさておき、真面目に計算すると、70万円かけた設備が20年使えたとして、700,000円÷(20年×3ヵ月)で11,666円/月。この計算を正とするのであれば、数万円で買えるガスファンヒーターやエアコンに比べるとコストパフォーマンスが良いとは思えません。ランニングコスト以前の話ですね。

床暖派は「エアコンのように風が起こらない」「ガスファンヒーターのように燃焼しないから結露を誘発しない」「足元から暖まるから気持ちが良い。体にも良い。」が主な推進理由。その通りだと思います。多少のコスパに目をつぶってでも床暖房を選ぶ方の主張ももちろん正解です。

 

実際の工事現場はこんな感じです。

こちらのマンションはフローリング施工の際の遮音等級LL40。最も厳しい等級を求められています。伊丹市の一等地に建つマンションです。個人的見解として、遮音が厳しい→クッションが強い→フローリングが波打ちやすい→劣化が早い、と思っています。こちらの現場のフローリングも波打ってましたが、それが遮音材によるものなのか、使い方によるものなのかは判断できませんが、ものすごくきれいに使ってらした中古マンションではありました。

下の写真は既存フローリングをめくった後、床暖房設備をめくっているところ。発泡スチロールに見えるのは発泡スチロールで(笑)、パネルの下に敷いてあり、パネルの熱が床のコンクリートスラブに逃げるのを防いでいます。断熱材です。

 

分譲マンションで床暖房設備とフローリングをめくる、の図

パスタに見えるのがガス式温水床暖房のパネル。このパスタの中をガス給湯器で暖められた水が走り、その上のフローリングを暖めてくれます。

温水パネルの夢のあと

 

②上記条件でフローリングを貼りかえると、床暖房の保証が効かなくなる

職人さんに持ってもらった中指と薬指の間の銀紙。これはフローリングと床暖パネルの間にある断熱用のアルミシートです。フローリングをめくると、このアルミシートもめくれてしまいます。予算がどうしても無い、もしくは築浅でパネルがもったいない、という場合、丁寧に丁寧に遮音フローリングを剥がし、パスタのパネル部分だけを残そうとしますが、このアルミシートだけはどうしても剥がれてしまうそうです。その場合、既存パネルの上からシートだけ貼り、フローリングを上貼りします。正規の手法ではありませんが、ひとつの方法ではあります。

床暖パネル+発泡スチロールをめくった箇所はコンクリートスラブ。私の経験としては、パネルの箇所だけがコンクリートが下がっていることが多いのですが、ここは

レベル調整、高さ調整のために、床暖房パネルがない、遮音フローリングだけのところには茶色いクッション材のようなものが入っていました。断熱材件遮音材だと思います。こんなのが入っているのであればフローリング材そのものには遮音性能は不要なのでは?と私は思いますがどうなんでしょうか。パネルが無いところはこの遮音材とフローリングについている遮音材で2重になるため、かなりクッションが効いている感触があります。

③フローリングの下地の状態によってやり方が変わる

このあたりの施工方法は、マンションディベロッパーによるのか、施工会社・設計会社によるのかまでは分かりませんが、各社やり方が異なります。ちなみに堺市の某ライオンズマンションでは、床暖房パネル自体がステンレスの箱に覆われていました。ちょうどお弁当箱にパネルが入っている感じで、間違って打ち込んでも、上の写真の“パスタ”に釘が打ち込まれるどころか、フィニッシュネイルを跳ね返す(!)。フローリングを張り替える場合も、ステンレスの箱が断熱材を兼ねているようで、フローリングのみを綺麗に剥がし、既存床暖パネルを残し、フローリング貼り替えをすることができました。この施工方法は私が体験した中では最も理にかなっていたと思います。

私が経験した中で一番ポピュラーなのは、床暖パネル部分だけ、約1センチコンクリートスラブが下がっているケースです。表面材であるフローリングは同じレベルに貼られ、床暖箇所以外はコンクリートスラブにフローリングが直に貼られています。

設備もマンションの建て方も、地域差があります。首都圏ではコンクリートスラブ+床組(10~15㎝床を組んで上げてある)+仕上げ材が比較的多く、関西圏ではスラブ+仕上げ材となっているところが多いそうです。関西らしいわー(笑)と、フローリング屋さんから聞いた時には思いましたね。

記事を参考程度にしていただき、「フローリング貼り替えと言っても色々あるんやな」と思っていただき、実際施工を検討する場合は依頼する会社さんに必ずお確かめください。現地調査、竣工図面調査、解体後調査は必須。手法として許されるなら、本格着工の前に一部床材をめくってみることができれば、尚良しです。

まとまりませんが以上です。

 

 

 

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カラフルライフ
リフォーム・リノベーション、不動産仲介業、注文住宅営業など、“一般顧客向けの”不動産業・建設業を20年提供してきました。営業、プランナー、デザイナー、現場監督と、幅広く網羅した仕事をしてきています。中古住宅流通+リノベーションの住宅の買い方をするに、せっかくなのでこれまでの経験を知っていただきたく、連載しているブログです。