こんにちは。リノベーションコーディネーター、株式会社カラフルライフ代表の清水です。
今日はリノベーションのプランニングについてお伝えします。
こちらの現場は西宮市の西宮北口駅から徒歩5分の分譲マンション。2005年築63㎡ほどです。
関西にお住まいの方はよくご存じだと思いますが、関西No,1レベルで人気の高い駅徒歩圏の、資産価値の高い中古マンションをシングルの女性にご購入いただき、リノベーションを施しました。2021年11月の竣工です。
各社各担当で進め方は違うと思いますが、私がやってきて今のところベストと思える進め方についてお伝え致します。
本記事のテーマ
リノベーションにおけるプランニングの進め方。
の中の竣工図面調査について
内容:
①竣工図面調査
②現地調査
③ラフプランゾーニング
④アフタープラン
と書こうと思っているのですが、今回は①竣工図面調査について。その中でも
①-1 構造躯体・パイプスペース等、撤去できないものたち ①-2 給水・給湯・ガス管 インフラ管について
①-3 床材とコンクリートスラブのあいだ
について書いていきます。
①竣工図面調査。特に水回りの位置変更を伴うリノベーションでは必須です
分譲マンションの「竣工図面」とは何かと言えば、「建物完成時に建てた会社から住民へ渡される、建物の最終的な図面」のこと。ものすごく古いマンション(昭和40年代とか)ですと大幅に間違っていることもありますが、原則として最も信頼のおける図面です。下調べとしてこれを確認したにも関わらず、着工後に解体してみたら間違っていた、ということであればもうどうしようもない、と言い切っていいと考えています。
不動産屋さんが作っている物件シート上の図面は「絵」です。あちらはレイアウトを分かりやすく伝える役割であり、竣工図面は、見えないところを見るための図面です。
↑こちらの「物件シート」上の「間取り図面」とは似て非なるモノ。こちらは参考程度に留めておきます。
竣工図面は、現在工事予定マンションに住んでいるのであれば、すぐに顔なじみの管理人さんのところへ行き、見せてもらうことができますが、新たに買う予定となるとそうはいかないマンションも多々あります。区分所有者ではない第三者においそれと見せるようなものではないからです(おいそれと見せてくれる管理人さんもままいます)。
門外不出(持ち出し不可)、唯一無二の資料のため、管理の厳しいマンション管理人(会社)だと、「居住者以外には見せられません」となりますので、不動産売買契約の前後に、不動産仲介業者、もしくは売主さんに依頼して、リノベーションの担当者に見てもらえる段取りをとっておきましょう。
余談ですが、築30年ほど経過したマンションで、管理人さんや管理会社さんの意識が高いのでしょうか。もともとの竣工図面集がボロボロになったため、サイズ変更してコピーし直し、製本しているマンションがありましたが、コピーのクオリティが低く、全然解読できなかったことがあります。オリジナルの図面が無いと、確認する側からするときついです。
計画内容とマンションによって多少違いますが、この竣工図面で見ておきたい、必ず押さえるポイントはこの3つ:
①構造躯体・パイプスペース等の撤去できない箇所の確認
②給排水管・ガス管・換気ダクトの経路
③現場で見えている床材と、コンクリートスラブの間の状態
それぞれ書いていきます。
①-1 構造躯体・パイプスペース等の撤去できない箇所の確認
分譲マンションにおいて、解体できないところは3箇所。
①鉄筋コンクリートで作られた壁・柱・梁・床スラブ
②パイプスペース(P.S)メーターボックス(M.B)
③玄関扉・窓サッシ等の「外気に触れる部分」
です。
赤丸:メーターボックスとパイプスペース。この部屋の上下階の人も使う共用管が走ってます。壊したらどえらいことになるのは想像が容易いかと。
緑四角:玄関扉とサッシ。玄関扉の内側の色を塗る、シートを貼るのは基本OK。外気に触れる外側は、マンション全体の見え方が変わってしまうためNG、という考え方です。
サッシ自体を変えるのはNGですが、窓ガラスが割れた場合は当然入れ替えないといけないのでガラス交換は可。「ペアガラスに変えられるか?」という話はよくでますが、その都度管理人・管理組合に相談します。経験則では可否50:50です。
交換することで結露が減り、建物にとっても良いことであり、見え方が変わるガラスを使わない限りは交換可と判断する方が、マンション躯体にとっても住民にとっても良いのではないかと私は思います。
青四角は構造部分。開口するどころか、エアコンの穴を開けるていどであっても完全NG。場合によっては本当に訴訟になります。施工上やむなくビスを打ち込むくらいのことはあります。
①-2 給排水管・ガス管・換気ダクトの経路
こちら、実際に2022年5月から工事開始予定の宝塚市の現場の竣工図面です。分かりやすいのでこちらを。写真中央左に見えているキッチンなどから管が色々出ているのが分かると思います。これらが給水管・給湯管・排水管・ガス管の印です。分譲マンション一室のインフラですね。
キッチンの位置を移動することはほとんどの部屋で可能ですが、これらインフラ管の入口・出口を変えることはできません。
この中でチェックが特に重要なのは①排水管経路と②排気ダクト経路です。お湯と水はキッチンなどへポンプによる圧力を使って運ばれるため、あるていどどこにでも持って行くことができます。それに対し、①排水管は管自体に勾配(こうばい)を付け(=斜めにして)て流します。ここだけは自然に頼っている感じです。
排水させるのに必要な勾配は基本的に1%。100㎝の距離について1㎝下げるのが目安です。より急な斜めの方がいいのかと思いきや、勾配が急すぎると、水だけが早く流れ過ぎて、米などの残飯が残り過ぎやすくなるため、適正な勾配が求められます。厄介なのが、建物自体が歪んでいたり斜めになっていたりすること。「鉄筋コンクリートのマンションが歪んでることなんてあるの?」とよく聞かれますが逆です。全く歪んでなかった事例は記憶にありません。1%勾配を取る計画で練っていたとしても、建物が歪んでいることによって3%必要になる、ということもあります。
「リフォームは壊してからではないと分からなことがある」という内容のひとつです。
上記理由により、比較的自由の利く給水給湯に比べ、排水については既存の出口(=共用の排水管)から離れるほどに床が上がっていきます。その場合には仕上げの床の高さが変わることも視野に入れる必要があります。
①-3 床材とコンクリートスラブのあいだ
確認の重要度で言えば、①→③の順番ですが、①と②はレイアウト図面とパンフレット図面から90%程度は読み解き、予想することができます。私としては竣工図面を確認する必要性が一番高いのはこの件だと考えます。

現地で非破壊で見ることのできるのは基本的に表面材のみ。畳を上げたりすることで一部床下の状態は分かりますが、和室・洗面室・キッチンの仕上げの下が分かればいいくらいで、限界があります。
竣工図面を作っているのはいろいろな設計事務所ですので、表現方法も様々です。マンション全体を縦切りにした矩計図(かなばかりず)に書いてあったり、仕様書の中に文字表記をしていたり。こちらのマンションでは非常に分かりやすく、このような表記をしています。
青枠は床のコンクリートスラブ。矢印を打った斜めラインはコンクリートの印です。赤丸のところに「130」の表記が見えます。
拡大すると、「コンクリートスラブから仕上げ材の下端までが130」という表記であることが分かります。仕上げ材については別途仕様書で「厚み13」などと表記されていて、見えているフローリングの表面からコンクリートスラブまでの距離が130+13=143㎜であると、ここで初めて分かります。
とは言え、見えていないコンクリートの仕上げが平滑であるとは限らない、そもそもコンクリートスラブはたいがいがたわんでいる、コンクリートスラブが表記よりも厚く打ってある等々、実際に工事を始めると、イレギュラーなことは多々あります。
前述しましたが、リフォーム・リノベーション工事において、「壊してみないと分からない」という表現は業界としては接尾語のようについて回る話ですが、壊す前に分ることもあります。壊してから出たとこ勝負で工事をするか、せめてここまでの事前調査を行うか。その準備によって工事の精度は体感で30%くらい変わります。マンションリノベーションにおいては、竣工図面調査は必須の準備項目。その上で「壊してから分かった」問題に向き合いましょう。
やや深めの話になり、あちこちに飛んでしまい申し訳ありません。お読みいただきありがとうございました!
株式会社カラフルライフ代表 清水 透













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