住宅ローン誕生秘話。平和だからこその長期計画

 

こんにちは、リノベーションコーディネーターの株式会社カラフルライフ代表の清水です。

今日は面白い記事がありましたのでそちらについて。2022年4月4日日経新聞夕刊の記事より:

 

「住宅ローン、天下太平の世に誕生」

 

2022年4月4日の日経新聞夕刊のものです。日経の夕刊は“経済”新聞社の視点で見た文化についての話が多いので、私はとても好きです。今回の記事は住宅問題エディターの堀 大介さん。もちろん面識はございませんが、貴重なお話ありがとうございます。備忘録の意味も込め、勝手ながら取り上げさせていただきます。

初めて住宅ローンの原型を作ったのは東京建物さん

まず、全く知りませんでしたが、「1896年に現在の住宅ローンの原型を作ったのは東京建物」さんだそうです。現在ではブリリアシリーズなどで有名なディベロッパーさんですね。素晴らしいマンションを建てていらっしゃいます。1896年は明治29年。第一回のオリンピックがアテネで開催され、三陸地震による津波で2万人を超える犠牲が出て、辰野金吾設計の日本銀行本店が落成した年のようです。

 

このときの制度としては、最長15年の月賦支払を終えて初めて所有権が移る、というものだったそうです。ちなみに現代の住宅ローンは、支払いスタートのときに銀行から一括で売主に支払われ、月々の支払いが始まるときには所有権移転は完了しています。

「日清戦争の好景気で多数の申し込みがあったが、広く持ち家を普及させるまでには至らなかった」と、時代が追い付いて無かったのであろうと記事では推察しています。

 

現在につながる住宅ローンの系譜:1921年公布「住宅組合法」

現在の住宅ローンの原型になったのは大正時代、1921年の「住宅組合法」の公布。「「しっかり働けば家を持てる」という希望を持ってもらうことは、経済政策の上でも重要だった」。現代まで続く景気浮揚策としての住宅政策の始まりが見てとれます。

 

ここ数年、数十年に渡り、日本の経済成長の停滞・衰退が指摘されています。書籍からの受け売りもありますが、「本当に欲しい物(商品)が無くなった」ことが大きな原因ではないかと思います。1960年代前後の高度成長期に私の親世代が欲しがった、家も車もエアコンも洗濯機も冷蔵庫も、贅沢なものでは無く普及品になりました。どちらかと言えば断捨離とシンプルライフがもてはやされる世の中になって、物質的欲求が満たされてしまってますよね。スマホ一台が電話、カメラ、ステレオ、TVと何役も果たしてしまっていることも大きな理由だとも思います。

その時代から見ると、「家を持つ」という一大目標に向かって邁進する世の中というのは、分かりやすくて、なんだかキラキラしているように見えて羨ましい気もしてきます。

 

1950年設立、住宅金融公庫

その後、「住宅ローンが普及していったのは、1950年の住宅金融公庫設立の影響が大きい」「2006年の廃止までに1941万戸、全住宅の3割に当たる住まいに寄与した」とあります。1950年といえば朝鮮戦争がはじまり、その特需に日本が沸いたと聞きます。戦後復興、戦争特需、高度成長期の波に乗ったのでしょう。また、記事にはありませんが建築基準法が制定されたのも1950年。大きな節目の年だったことが分かります。

私が社会に出たのが2000年です。そのときには私の周りでは住宅ローンと言えば銀行ローン、というのが主流になっており、住宅金融公庫融資の手続きをしたことはありますが、廃止されるまでほんの数回、といったところだったと記憶しています。しかしながら当時のご年配の方々は公庫で借りるのが当然、という論調だったため、住まいに寄与した割合が3割というのはむしろ意外と少なく感じます。

この住宅金融公庫は住宅金融支援機構と名称を変え、現在ではフラット35を扱う金融機関として住宅市場に貢献しています。が、個人的な見解として、公的機関として、国民の住宅所有推進という役割はもはや終えています。被災民への住宅支援・確保の陣頭指揮、今回のウクライナ戦争難民の方々への住宅支援、中古住宅流通促進、空き家問題の是正など、公的機関としてあって欲しい立ち振る舞いを早く見たいです。

 

日本最古の住宅ローンのようなもの、「持込家質」

更にさかのぼると江戸時代に「持込家質」という制度に行きつく。これは「資金を借りた人は自らが住むことを主目的で買うのではなく、他人に借家や店として貸し、これを原資に元利金を払っていた。今日で言えば不動産投資」ローンに近いものだったそうです。ではさらにその昔は?と言えば、「収奪されかねない時代に住宅の所有権を前提にした融資は成り立たなかったと思われる」と、本稿の核心に触れます。

「所有権がいつ脅かされるか分からない不安定な社会では、借金してまで持ち家にこだわることはない。」住宅ローンは平和と社会の安定があってこそ。当たり前の表現ですが、ロシアがウクライナを侵略し続けている今日現在、35年ローンに苦しむことができるのも先人が創ってくれた平和を享受できているからこそ、ということに気づかされます。

ついついここ10年くらいの状態を「常識」と捉えてしまうのは、人間の恐ろしい癖ですね。最近の論調が比較する日本も、1980年代、スーパーマリオでスターを獲ったときくらいほんの一瞬の最強日本のように感じます。それは単なるノスタルジーだと私は思います。このような記事は歴史を知り、解釈し、自分なりの予見を持つのにとても有意義です。

 

そして2022年以降の住宅政策は

あらゆることと同じように、住宅ローンも今の制度が当たり前ではない、というのがこの記事の要点だと思います。未来の日本は、かなり高い確率で人口減少、家余りという全く違う状態になるのが目に見えている。記事にある時代の制度とは真逆の、今あるものをどうするのか?国の規模が縮小していく中、それを束ねる政策が欲しいです。

登山より下山、離陸より着陸、突撃よりも殿(しんがり)が難しい。この記事を読んだ官僚や大学教授の皆さん。ぜひとも2100年の日本人に感謝されるような、下山のための法整備をお願い申し上げます。もうあんまり時間ないですよね。

 

あくまで私見として。読んでいただきありがとうございました。

2022年4月

カラフルライフ清水

 

 

 

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カラフルライフ
リフォーム・リノベーション、不動産仲介業、注文住宅営業など、“一般顧客向けの”不動産業・建設業を20年提供してきました。営業、プランナー、デザイナー、現場監督と、幅広く網羅した仕事をしてきています。中古住宅流通+リノベーションの住宅の買い方をするに、せっかくなのでこれまでの経験を知っていただきたく、連載しているブログです。